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ロシアのウクライナ侵攻にみる、アメリカとロシアの利害について考えてみた

 最近の市場のボラティリティーの主要因として、「ウクライナ情勢」があります。ロシアがウクライナに拘っている理由は、詳細まで理解していませんが、ウクライナ国内の親ロシア派を助けるために、ロシアがウクライナ領国内に侵攻すると連日ニュースが流れています。

 

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 今回のロシアのウクライナ侵攻に対して、西側諸国は批判を強めています。またウクライナの主流派は、西側諸国で形成されているNATO北大西洋条約機構)への加入を希望している様です。

 

 一見、ロシアと西側諸国の主導権争いの様に見受けられますが、今回のウクライナ侵攻に対しては、別の要因があるのではないかと、考えています。

 

今回の侵攻に対し米露の利害が一致?

 戦争が起きるのは望ましい事ではないしょうが、各国の首脳や政治家たちが本当に恐れている事は、何でしょうか?私は、『自国民の不満が溜まる事』と考えています。国民の不満が溜まると、政権支持率は低下しますし、デモや暴動が発生して国内は不安定になります。

 

 コロナによる影響で国民の不満が溜まっていますが、各国は金融緩和や補助金を出して、何とか国民の不満を抑えています。一方で金融緩和や補助金で各国の財政は厳しいのも事実であり、更にアメリカを中心にインフレ懸念もあります。

 

 今ではアメリカ国民の興味や不満は、景気悪化よりはインフレ対策にあり、FRBは利上げをする事でインフレを抑え込もうとしています。ただ利上げをすると、株式市場に流れていた資金は債券などへ流れていく事になり、株価は下落するでしょう。

 

 ロシアのウクライナ侵攻に対してアメリカが今まで以上に騒ぎ立てているのは、国民からインフレや利上げによる景気悪化が起きても自国の金融対策が起因とはせず、ウクライナ情勢悪化による影響、と説明する事で責任逃れをしているのではないか、と考えてしまいます。

 

 アメリカの株式市場で暴落が起きた場合、FRBの利上げによるものではなく、ロシアのウクライナ侵攻が原因と、半ば責任を擦り(なすり)付ければ、国民は「政府や中央銀行の金融政策が悪い。」という考える人は少なくなり、不満の矛先は別の方向に向くのではないでしょうか。

 

ロシアにとってのメリットは?

 では、今回のウクライナ侵攻に対してロシア側にはメリットがあるのでしょうか。ロシアは天然ガスの最大輸出国であり、ロシアと欧州の関係が悪化している影響で、欧州での天然ガス価格は急上昇しています。

 

 またロシアは世界有数の原油産油国であり、2020年のデータでは原油輸出量は、アメリカやサウジアラビアに次いで、世界第3位になっています。現在原油価格は、世界経済の復興、CO2問題による原油生産量の低下、ロシアを始めとする世界情勢不安などで、高止まりしています。

 

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 天然ガス原油の価格が高いという事は、輸出国のロシアにとって良い事であり、これらの輸出から得られる利益は莫大なものになります。結果、国民も潤う事になりますので、プーチン政権への支持率も高まる事になります。

 

 ウクライナでどの程度の戦争が起きるのかは分かりませんが、ロシアにとっては今の状態(政情不安定でコモディテー価格が高い)を維持した方が、メリットが大きいのかもしれません。

 

 アメリカとロシアが裏取引しているかは分かりませんが、ウクライナ情勢の不安定さが双方にとって悪い状態ではないと考えるのであれば、この状態は暫く続くのではないか、と考えています。

 

 一方で欧州は引続き高い天然ガスを買い続けることになりますので、なるべく早い収束を考えているかもしれません。ただ今の状況では、欧米各国よりもロシアが主導権を握っているように見られ、欧州が制裁を行ってもあまり効かないのではないか、と思われます。

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