当り前の事かもしれませんが、投資において「絶対安全」というのは存在しません。株式投資のリスクについては、投資経験が無い人でも知っていると思いますし、自分が持っている有資産以上の金額を扱う信用取引などは、もっとリスクがあると思うでしょう。
ただ最もリスクが高いのは、投資している商品の中身が分かっていないことであって、勉強して知識を増やせば、リスクはある程度下げられると思います。もちろん、完全にリスクゼロに出来る訳ではありませんが…。
リスクを嫌ってお金を減らしたくない、と考える人は現金だけを銀行や郵便局に預けるのでしょうか。また金融機関の倒産のリスクも考えるのであれば、預貯金の額をペイオフが適用される1,000万円まで抑えるか、タンス預金にするのでしょう。
ただ現金が最も安全の様に思えますが、インフレが起きたらどうしようもないと思います。今1,000万円の預貯金があって、安心でいたとしても、インフレによって資産価値が下がっていく事を考えると、現金もリスクがあると思ってしまいます。
投資における「想定外」について
20年も投資をしていると、何度か失敗はするものです。2000年頃に起きたITショックは、直接被害は受けませんでしたが、その直後から投資をしていたので、株式投資を開始した当初は、株価が中々上がらず低迷していた事を記憶しています。
その後、リーマンショックや今回のコロナショックを受けて、何度か資産が目減りしましたが、少しずつ資産は増えています。ただ私の場合、これらの市場暴落による影響は少なく、個別株への投資の失敗による損失が大きいです。
過去に何度か紹介した事がありますが、大きな損失を出したのは、①日本航空、②東京電力です。日本航空については、完全な私の判断ミスであり、財務体質が非常に悪いのに、「最後は日本政府が助けてくれるだろう。」と考えて持ち続けた挙句、最後は破綻してしまいました。
その後、絶対潰れない会社で、将来に渡って東京一極集中が続くだろうという考えから、長期投資で東京電力に投資をしたのですが、東日本大震災により株価は1/10になってしまいました。
日本航空については、収益性や財務体質を確認して判断すれば、防げた投資と思います。また巨大企業とはいえ、毎回公的資金を投入するはずもなく、「どのような会社でも倒産する可能性はある。」という良い勉強になりました。
「想定外」というのは、”ブラックスワン” と言うらしい
先日、『コロナ後の銀行業界の見通しについて』という題目のセミナーを受講しました。Webでの参加でしたが、参加者のほとんどが金融関係の方ばかりで、メーカー出身者は私だけでした。
それでも結構ためになるセミナーであり、銀行業界に対し、講師の方が以下の様なコメントをしていました。
・直近、政府の支援金が効いており、企業の倒産件数は減っている
・ただこれからは、政府支援金は無くなる為、倒産件数は増加する
・中小企業への貸し出しが多い地銀が危ない
・一方でメガバンクの財務体質は以前と比べて改善、今後の不況に備えている
という事で、3大メガバンクは安泰、中小企業への貸し出しが多く、財務体質が悪い地銀などの金融機関は今後きついのではないか、と言われていました。その後、聴講者から色々質問があったのですが、専門用語が多く、全てを理解するのは難しかったです。
ただ質問の中でも、「3大メガバンクが大丈夫なのは分かったが、『想定外』、所謂ブラックスワンとなりうる事象はあるのか?」という質問に対し、”仮想通貨”を上げていたのが印象的でした。
講師の方によると、仮想通貨については、買い物など少額決済だけに使われる場合、影響は少ないそうですが、貨幣に代わって利用され始めると、金融システム自体が変わり、どのような事が起きるのか分からない、と言われていました。
また今の金融システムは、銀行を中心に回っているので、仮想通貨の利用範囲が広まると、銀行のシステム自体が必要なくなる(=銀行が必要なくなる)可能性もあるとの事でした。
まさかそんな事が…と思いますが、想定外の事態が起きて、10年、20年先には銀行そのものが無くなっているかもしれません。確かに、銀行の先行きは暗いと予測している方もおり、世間の方々も分かっているのかもしれませんね。