以前は、会社を退職して悠々自適な生活を送る事を、「アーリーリタイア」と呼んでいましたが、最近ではFIRE (Financial Independence Retirement Early) と呼ぶ人が増えて、日本でも認知されるようになってきました。
ただ経済的自由を得る事をうたっているFIREに対して、アーリーリタイアはもう少し広い意味があると感じています。例えば会社を退職しても資産は持っておらず、お金が無くなったら働くという人は、FIREにはならないのかもしれません。
資産家はFIREに否定的?
そもそもFIREは海外で数年前に広まったのですが、最近になって日本でも広く知られるようになりました。またFIREを達成した方のブログも有名になり、若い人がFIREを目指すケースが増えていると思います。
私の会社では、若手の給料は高くない事もあり、FIREを目指す人は聞いたことがありません。ただ早期退職制度が適用される50歳の時に、リタイアする人は偶に見かけられ、その中には再就職する人や自営業として働く人など、個人によって退職先の方向性が異なります。
FIREが広まるにつれて、You TubeでFIREに対する論評も聞かれるようになりました。意外に感じたのですが、資産家の方々はFIREに対して否定的な意見が多かったです。大体、「FIREした後、何をするのか?暇を持て余すのではないか。」という意見が多かったです。
ある投資家の方は、20才台で自分のファンドを立ち上げて、30才の時にファンドを売却し、一度リタイア生活を送ったそうです。お金も時間もあるので、様々な事をしながら、世界中の国を旅行したそうです。結局、その方は、数年でその生活に飽きてしまい、仕事に戻ったとの事ですが、リタイアしてもその後の生活に目的が無ければ、後悔する様に感じました。
またホリエモンこと、「堀江貴文さん」も同じようにFIREに否定的であり、若くしてリタイアすると、早くボケてしまうと言われていました。確かに、リタイア後に毎日誰とも会わず、何もしない生活を続けていれば、早々にボケてしまうかもしれません。
政府はFIREが増える事をどう考えているのか
FIREを達成できる人はごくわずかと思いますが、将来FIREする人が増えた場合、社会にどのような影響を与えるのでしょうか。働かずに税金も支払わず、低コストで暮らす人が増えると、経済は落ち込み、税収は上がらないと思います。
もし、「FIREをする人が増える=サラリーマンが減る」という事になれば、政府は焦るのではないでしょうか。サラリーマンは、源泉徴収という形で、給料から自動的に税金や社会保険料を徴収されています。私自身も以前そうでしたが、「税金や社会保険料は、徴収されるのが当たり前。」の感覚になっています。
政府にとって、税金や社会保険料を容易に徴収できるサラリーマンは貴重な存在であり、もしサラリーマンが減って、これらの費用を払う人が減少すると、困るのではないでしょうか。税収が減った場合に政府が行う対応としては…
・資産税など別の形で税金を徴収する。
・年金や行政サービスを削減する。
の様なことが考えられるでしょう。年金や行政サービスを削減すると、国民を敵に回す事になる為、公には出来ず、国民に分からない様な措置を取るでしょう。一方で富裕層を対象とした資産への課税については、課税の対象とならない人にとっては関係がなく、政府にとって「まだ取りやすい」のかもしれません。
政府は、「貯蓄から投資へ」という事を謳っていますが、これは投資により個人で老後資金を確保する様に進めている対応と考えられます。ただし、FIREする人が増加して、投資による不労所得で生活する人が増えれば、資産税や配当などにかかる税金を上げる事も考えられるのではないでしょうか。