先日、銀行の社内について書かれた本を読みました。著者は大手メガバンクの元銀行員で、役員一歩手前まで出世した人との事です。その本の中では、銀行員の仕事内容や出世について書かれていました。
特に「銀行業界での出世競争」については、かなり激しい様で、銀行の支店の序列や出世の事など詳しく書かれていました。著者が次長→副支店長→支店長と上り詰めていく様子が描かれており、結構興味深い内容だったと思います。
どの会社も同じでしょうが、上に行くほどポストが減るため、年数が経つごとに出世できる人が減っていき、多くの銀行員は45歳位で子会社に出向されるそうです。そんな中でも、出世の為の足の引っ張り合いなど、銀行員は大変だな…と思いました。
メーカーの出向先とは
私の会社はメーカーですが、企業間取引(いわゆる B to B)をメインとしています。中には直接個人のお客さんに製品を売る、「B to C」の商売もありますが、殆どが企業間との取引です。よって、商品に対するクレームが来るのは、他の企業からであり、彼らも我々から製品(顧客にとっては原料や仕入)を受け、更に加工して他の企業や個人へ売却します。
私の会社でも早い人は、35歳位から子会社などに出向する人がいます。ただ、上記銀行の様な、「子会社」だけではありません。私の会社(メーカー)での出向先としては、以下の3つパターンがあります。
①子会社、関連会社への出向
②海外の現地法人への出向
③大学、独立行政法人への出向
一般的に言われる出向先とは、①と思います。私の会社では、大体55歳を過ぎた定年前の出向パターンが多いです。40歳位で出向する人もいますが、出向してから数年~十数年経過後、戻ってくる人もいます。
また私の会社では、海外の会社は現地法人という形を取っています。現地法人に出向されるパターンとしては、「社長か副社長などの重役待遇」か「若手の海外経験」の2つに分かれます。重役待遇の場合は、50歳以上、若手の海外経験の場合は30歳前後が多いです。
よって海外の現地法人に出向される場合は、日本である程度出世した人か、将来有望な若手が選ばれることになり、これらの人事異動には悪い印象を持たれる人は少ないと思います。
あと研究者や技術者に多いのが、③の大学や独立行政法人への出向です。大学と共同研究をしている場合、研究所から人が派遣されます。当然、先方(大学)に出しても恥ずかしくない人材ですので、将来を嘱望されている人が選ばれます。
メーカーの出向は、出世競争から外れたのか?
子会社や関連会社への出向であれば、出世から外れたと言えるかもしれません。ただ、②や③のようなケースでは、どちらかと言うと優秀な方が出向される場合が多いです。
また出向される本人が「事務屋」なのか、「技術屋」なのかで、捉え方が変わると思います。元々技術屋の方々は、出席には興味がない人が殆どですので、子会社や関連会社に出向になっても、余り気にしていない人が多い様に感じます。
更に技術の方が大学や独立行政法人に行くことで、自分の好きな研究や仕事が出来る機会が増える為、喜んで異動する(自ら希望する人も多い)パターンが多いです。
最近でも、研究開発のマネージャーが独立行政法人に出向になり、『長年の希望がかなった』と言って、喜んでいました。その方は、まだ40歳台後半ですが、今まで研究開発で20人もの部下を抱えて、各個人のテーマを管理していたのですが、はっきりマネージメント業務は嫌だと言っていました。
独立行政法人に移る事で、部下無管理職として社外の研究者達と仕事が出来、新しい取り組みが出来るという事で、本人はうれしそうです。
私も自分の好きな仕事が出来るのであれば、出向であっても喜んでいくと思います。ただ、技術者としての能力が落ちてしまっているので、私を受け入れてくれる出向先が無いのが残念ですが…。