衆議院選挙が終わり、与党である自民党が圧勝という結果になりました。公明党が言い出したとはいえ、コロナ禍で生活が苦しくなった家庭を助けるという意味で、「国民全員に10万円を給付」が実行されるようです。
ただ選挙が終わり、いざ給付が検討され始めると、国民全員ではなく、「18歳未満の子供を持つ家庭」で、更に「年収960万の所得制限を設ける」事になりました。
これでは、独身者やお年寄り、子供が居ない家庭、子供が居ても高年収の家庭への給付はされないことになります。生活が苦しいのは、独身者やお年寄りでも同じであり、少し理解に苦しむところです。
制約を設けた政府の思惑とは
我家の場合、私の年収がギリギリ所得制限を超えるので、給付はされません。元々「子供手当」や「高校の授業料無償化」でも所得制限で給付に制限がかかっていたので、『ああまたか…税金は多く支払っているのになぁ。』という少しがっかりした気持ちになりました。
一方で、年収が多い人が少ない人を助ける考え方は仕方がない事と思いますし、税金で警察や消防、市役所などの行政サービスが支払った税金で維持されていると考えると、当然の事とも思います。
ただ今回は、所得制限だけでなく、「18歳未満を対象」としている所に違和感を覚える所です。上にも書いていますが、生活困窮者は独身者にもいますし、お年寄りの方が生活に困っているケースも多い様な気がします。
今回もそうですが、今までの政府の対応を見ていると、日本で最も支援したい(比率を増やしたい)家庭は、以下の様なケースを考えているのではないか、と思いました。
家族構成 : 夫、妻、子供(子供は複数)
働き方 : 夫と妻の共働き(1人当りの年収は400~500万円)
今回所得制限を「世帯年収」としなかったのは、給料は平均以下の共働き世帯には支援し、夫もしくは妻の片方だけ働く高年収には支援しないという事になります。
ちなみに給料に対する税金は、収入が増える毎に税率が上がる「累進課税制度」です。よって、一人で1,000万円稼ぐより、二人で1,000万円(500万円×2)稼いだ方が、税金は低く抑える事が出来ます。
本来であれば、「税金を多く収めている方がより多くの行政サービスを受けられる。」という感じがしますが、政府としては、単身で沢山稼ぐより、共働きで稼ぐ世帯の方を支援したいのでしょう。
労働人口減少と賃金の上昇を抑えたいのだろうか
日本の人口は、2004年12月(1億2,784万人)をピークに減り続けています。以下は、総務省が出しているデータですが、7割近くいた生産人口(労働人口)も年々減り続けており、2050年には5割近くまで減少してしまいます。
少子高齢化が進む事による人口減少も問題ですが、それ以上に労働人口減少に対応する為、働き手を確保する必要があります。「移民政策」という手段もありますが、日本は外国人にとって働きに来るには、魅力的では無い国のようです。
もちろん、物価が安い国はアジアに沢山ありますので、単純労働者としての移民はあるでしょう。ただアジア諸国でも毎年賃金が上昇しており、特に専門技術を持った人々が日本に来て働く選択肢は少ないのかもしれません。恐らく日本より、将来が明るく経済が拡大している、アメリカや中国を目指すのではないでしょうか。
政府としては、賃金低下を許容(見て見ぬふり)する事で、賃金上昇が見込まれるアジア諸国との競争に勝つように仕向けている様な気がします。また共働き世帯に対する手当を厚くする事で、共働きを増やして労働人口の減少を抑えたいとも考えられます。