殆どの会社は定年制度があり、60歳で定年、65歳まで雇用延長というパターンが多いのではないでしょうか。最近では、70歳までの就業機会の確保という名の雇用延長努力義務(強制ではない)が施行されるようになりました。
繰上げをしない限り、年金受給開始年齢は65歳ですので、私の会社でも65歳まで働くのが当たり前になっています。65歳にならないと年金がもらえない事に数年前まで文句を言っていた人もいましたが、今は常識になっている所を見ると、人間慣れるのは早いですね。
シニア社員の給料
先日、私の部署で今年定年を迎える人と話をしました。この方は管理職で、しかも役員一歩手前(管理職のレベルで最も高いポスト)まで出世した人です。出世がサラリーマンの成功の指標とすると、役員手前まで昇進したという事は、サラリーマンとしては成功したと言えると思います。
今は役職から外れ、数か月後に定年を待つばかりです。役職を外れたと言っても、急激に給料が下がる訳ではなく、今でもそれなりに高い給料をもらっています。ちなみにその方の場合、シニア社員になった時の給料は月25万円になる事が分かったそうです。
シニア社員の給料を良く調べた事は無いのですが、現役時代の役職や評価で給料が決まり、月収は15~25万円の範囲になっている様です。よって、月25万円というとシニア社員としては、最上級の評価であることが分かります。
普通に考えると60歳を過ぎた人が転職して、月25万円も稼げるとは思えません。一方で、現役時代との給料差を見ると、正直生活できるのか…と思われるそうです(今年定年を迎える人の談)。
特に定年後1年間は住民税の支払いが重く、この方の支払いは月10万円にもなるようです。ご存じのように、住民税の支払いは前年度の給料によって決まるので、その年の給料が大幅に下がっても前年度の給料が高ければ、差し引かれる住民税は前年度の高い給料の時と変わりません。
よって月25万円の給料の内、住民税で10万円差し引かれ、所得税や厚生年金など差し引かれると手取りは10万円もないそうです。「これは妻に働いてもらわないとキツイなぁ…。」と言われていました。
働くか、不労所得で補うか
月10万円では生活費が足りないので、当然蓄えを取り崩す事になります。また上記のように、少なくなった給料を補填する為に、配偶者(この場合、奥さん)に働いてもらうのも1つの手段です。
住民税の支払いが重いのは、定年後最初の1年間だけですので、その分だけのお金は退職金で賄うのが一般的な考えかもしれません。
ただこの方の様に月25万円ももらえるシニア社員は稀ですし、普通であれば20万円以下、人によっては月15万円の給料になります。場合によっては、定年後最初の1年間は、手取りが10万円はおろか5万円を下回る人もいます(昔、部下の中にいました)。
老後資金に…と考えていた退職金が減っていくのを見るのは気持ちが良いものではなく、生活費を抑える事になるでしょう。その場合、想像していた悠々自適の老後生活ではなく、爪に火を灯すような節約生活をしなければならないかもしれません。
「貯蓄から投資へ」と言われて久しいですが、定年後に働かなくても得られる不労所得が少しでもあれば、生活だけでなく気持ちも楽になると思います。
しかし投資は自分で考えてやるものですし、より良い投資を行うのであれば、判断や知識の蓄積も必要になります。やはり投資は若いうちから少しずつ始めるべきだな…と改めて思います。